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行政書士と訴訟⑦

  • ezily5
  • 2024年6月15日
  • 読了時間: 5分

行政書士と訴訟⑦

請求金額60万円以下については簡単な手続きで裁判が「少額訴訟」がある。弁護士に依頼しないで裁判ができるよう制度が「少額訴訟」である。

具体的な手続きは

①対象 60万円以下の金銭の支払いが対象

②管轄 簡易裁判所

③通常の訴状の記載に加えて、審理・裁判を行うのかを記載する。(金融業者が悪用するのを防ぐため。)

少額訴訟裁判は1回の期日で判決まで行わるという特色がある。

ただし、裁判所が1回の手続きで終わらせると判断、または、被告が通常の裁判を希望すれば、通常の裁判で行われる。

裁判で認められても、自力だけで権利を実行することは認められていない。つまり、相手が義務を果たさないときにも、公の手続きによって行わなくてはならない。強制執行という手続きである。

強制執行を申し立るには、「債務名義」が必要になる。債務名義とは強制執行することを認められている権利である。

債務名義には次のようなものがある。

①仮執行宣言付判決

②和解調書

③仮執行宣言付支払督促

もちろん、公証人役場で作成された公正証書で。金銭の支払い目的とするもので強制執行に服する旨が記載されたものは「債務名義」になる。

また、仮執行宣言付支払督促と少額訴訟の判決は強制執行の根拠となる。

それ以外は、公証人役場でその債務名義で強制執行できるという「執行文」を債務名義につけてもらう必要がある。

代金の支払い引き換えに移転登記しろという判決(引換給付判決)に一定の条件がついている場合、その条件が満たされているか確認する必要がある。執行文をつけてもらう場合には付与申請を裁判所すれば、自動的に「債務名義」に執行文をつけてくれる。

差押による強制執行の対象となるものは、不動産、給与債権、預金債権である。なお、不動産については担保の有無を確認する必要がある。

不動産の明け渡しを目的とする強制執行には、債務名義の債務名義の送達証明が必要になる。当事者が法人の場合には、商業登記簿謄本、現在事項全部証明書が必要になる。

確定判決を債務名義とするときは裁判所の確定判決証明書が必要である。差し押さえる債権の支払い義務者が法人であるときは、商業登記簿謄本、現在事項全部証明書が必要になる。

さて、不動産の強制競売であるが

申立は、差押する所在地を担当する地方裁判所に行う。

必要書類は

①申立書(当事者の住所氏名、どの債務名義のどのような債権についても申し立てるか、差し押さえの対象となる不動産はどれか、添付書類はなにかを記載する。

②執行文付債務名義の正本

③送達証明書

④不動産の登記簿謄本・抄本もしくは登記事項証明書

⑤固定資産税評価証明書

不動産強制競売の流れ

裁判所が競売開始を決定⇒目的不動産について差押の登記⇒抵当権者等、配当を受ける可能性のある債権者に対し、一定期日までに債権の届をし、配当の要求をするよう通知・公告する。⇒執行官に不動産の現状を調査させ、評価人(不動産鑑定士)に不動産の評価をさせる。⇒評価人の評価に基づき、最低売却価格決定

⇒評価人は、物件明細書を作成し一般の人が閲覧できるようにする。⇒入札、売却を行う。⇒入札の結果、買い受け人が決定すると裁判所は保証金を差し引いた残額一定期日まで支払うよう求める。⇒代金の納付後、裁判所は登記手続き、配当の手続きを行う。

動産執行は、金銭の支払いを目的とする強制執行である。

動産執行は

①申立は、差押する動産の所在地を担当する執行官に行う。

②必要書類

 ・申立書

  当事者の住所氏名、どの債務名義について申し立てるか・請

  求する金額の内訳(元金、利息、執行準備費用等)、何を差

  押えるかを記載する必要はなく、執行官が決定する。生活に

  必要家財道具、仕事するために必要な道具、2カ月の生活費

  は差し押さえることはできない。費用の予納が必要である。

 ・執行文付債務名義の正本

 ・送達証明書

 ・当事者のいずれかかが法人であれば、法人の登記簿謄本ある

  いは現在事項全部証明書 

③動産執行の流れ

 申立⇒執行官が執行現場まで行って差押をし、競り売り等によ

 って売却し配当する。

債権執行

差押えるところまでは、不動産執行や動産執行と同じであるが、

債権執行は債権を売却してその代金から配当を受けるものではない。権利自体を額面額または裁判所が定めた額で債権者に移転させる。

差押えの対象となるのは、金銭支払い、船舶、動産の引き渡しを目的する債権、給与債権、預金債権、売掛債権である。

①債権執行も申立

 債務者の住所地担当する地方裁判所にする。

②必要書類

 ・申立書

  当事者の住所氏名、どの債務名義に基づいて申し立てるか・

  請求する金額の内訳(元金、利息、執行準備費用)

  差し押さえられる債権には制限がある。(税金・社会保険等

  を控除された残金の4分の1まで、たたし、その残額が44

  万円を超える場合は、給与内一律33万円を超える部分は差

  し押さえできる。また、第三債務者に対し、差し押さえの命

  令ともに差し押さえできる債権があるかどうか問い合わせる

  手続き(第三者債務者に対する陳述催告)

 ・執行文付債務名義の正本

 ・送達証明書

 ・債権者・債務者・第三債務者(差押えされた債権の債務者)

  のいずれかが法人であれば、法人の登記簿謄本あるいは現在

  事項証明書項全部証明書

③債権執行の流れ

 裁判所が差し押さえの命令を債務者及び第三者債務者にする。(債務者は、第三者債務者から弁済を受けたり、譲渡したりする

 ことができなくなる。第三債務者は、お金を法務局に供託する

 ことによって差し押さえの関係がなくなる。⇒第三債務者に差

 し押さえ命令が届いてから1週間経過すると、第三者債務者か

 ら直接取り立てることができるようになる。⇒第三者債務者が

 支払ってくれなければ、取立訴訟をすることができる。

 
 
 

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