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行政書士と労働関係法規3(労働基準法3条~6条)

  • ezily5
  • 2022年10月27日
  • 読了時間: 6分

行政書士と労働関係法規(労働基準法3条~6条) 第4条 男女同一賃金の原則    使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金に    ついて、男性と差別的取扱をしてはならない。  解説  従来の「男尊女卑」といった封建的構造から、女性労働者の社会的、経済的地位の向上を「賃金に関する差別待遇の禁止」という面から実現しようとしたものである。  過去問  労基法では、賃金についてのみ男女差別を禁止している。賃金以外の労働条件についての規制は、男女雇用均等法の定めるところによる。(平24・25・27) 男性は月給制、女性は日給制で差がでるのは実質的に差が出るのは、法4条違反。  また、女性であることを理由に有利に扱うことも法4条違反である。(平10・21) 労働基準法第4条(過去問) ○労働基準法第4条は、賃金についてのみ女性であることを理由とする男性との差別的取扱いを禁止しているが、賃金以外の差別取扱いついては同条違反の問題は生じない。(平24・4B) ⇒○ 労働基準法においては、賃金以外の労働条件について性別による差別を禁止する規定は設けられていない。賃金以外の労働条件についての性別を理由とした差別取扱いについては、民法90条により無効とされ、また、男女雇用均等法において帰省されている。 ○労働基準法第4条は、賃金について、女性であることを理由にして、男性と差別的取扱いをすることを禁止している が、賃金以外の労働条件についてはこれを禁止していない。(平27.1C) ⇒○ ○労働基準法第4条は、性別による差別のうち、特に顕著な弊害が認められた賃金について、罰則をもって、その差別 的取扱い禁止したものである。(平25・5E) ⇒○ 法4条に違反して、労働者が女性であることを理由として賃金について男性と差別的取扱いを禁止したときは、「6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金」に処せられる。 第5条強制労働の禁止 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。 解説 かつての暴行や脅迫等の不当な手段により労働を強制する封建的な悪習を排除するため、憲法第18条(奴隷的拘束及び苦役からの自由)に則り、強制労働を禁止している。 わが国の労働関係には、封建的悪習が残存しているので、あえてこのような規定を設けてある。 まとめ  労働基準法第5条は労働者の暴行や脅迫等その他精神又は身体を不当に拘束する手段さらには、社会通念上是認し難い手段による強制労働を禁止している。勿論、労働基準法第5条の規定は労働を強制する使用者と強制される労働者の間に労働関係が成立していることが前提となる。この場合の労働関係とは、形式的な契約による労働関係が成立していることを意味するものではなく、実態で判断するものとされている。暴行による労働基準法の第5条違反が成立した場合は、刑法による暴行罪は成立しない(法律上吸収関係にある。) 過去問  ここでの労働関係は、事実上労働関係が存在すると認められる場合であれば足りる。(平26) 「労働者の意思に反して労働を強制」するものとして禁止されているのは、暴行、脅迫、監禁又は3年を超える長期労働契約契約に限られず「精神又は身体の自由を不当に拘束する手段」として、社会通念上是認し難い程度のものも含む。 罰則は、労基法中、最も重い1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万以下の罰金(平21) 労働基準法第5条 強制労働の禁止(過去問) ○労働基準法第5条は、使用者が労働者に強制労働をさせることを禁止しているが、必ずしも形式的な労働契約により労働関係が成立していることを要求するものではなく、当該具体例において事実上労働関係が存在すると認められる場合であれば足りるとされている。(平26.1.A)⇒○ 法5条(強制労働の禁止)では、労働を強制する使用者と強制される労働者の間に労働関係があることが前提となっているが、この場合の労働関係は、必ずしも形式的な労働契約により成立していることを要求するものでなく、実態で判断することとされている。 ○強制労働禁止する労働基準法第5条の構成要件に該当する行為が、同時に刑法の暴力罪、脅迫罪又は監禁罪の構成要件にも該当する場合があるが、労働基準法第5条違反と暴行罪等とは、法条競合関係(吸収関係)にあると解される。 (平27.1D) ⇒○ 暴行罪等の罪は、労働基準法5条(強制労働の禁止)違反の罪に吸収されているとみるべきであり、したがって、1つの行為が同法第5条の構成要件のみならず暴行罪等の構成要件にも該当する場合には、同法5条違反の罪(1年以上の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金)のみが成立して、刑法の暴行罪等は成立余地がないものと解されている。 第6条中間搾取の排除 何人も法律に基づいて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。  説明  かつての日本では、労働関係の成立は、口入屋や労務供給業者等を通じて行われ、ピンハネなど不当に賃金の搾取が行われていた。この悪習は戦後もなお残存していたことから、労働基準法では、職業安定法と並びに中間搾取が正面から禁止するものとした。 まとめ 労働基準法第6条は、業として他人の就業に介入(中間搾取)することを禁止している。ただし、法律に基づいて許される場合(①労働厚生大臣の許可を受けて行う認めれた手数料による有料での職業紹介 ②厚生労働大臣の委託を受けて労働者の募集に従事し、使用者から労働基準法に違反しない報酬を受ける場合)は他人の就業に介入しても良いとされている。 労働派遣についても、派遣元と労働者との間に労働契約がある場合は、他人の就業の介入には当たらない。  なお、業とは、営利目的として継続反復して行うことをいう。 過去問 労基法6条で禁止している「業として利益を得る」とは、営利を目的として同種の行為を反復継続することをいう。 (平13)(昭和23・3・2基発381号) 「法律に基づいて許される場合」とは、厚生労働大臣の許可を受けて有料職業紹介業が、同法に違反しない手数料を受ける場合、厚生労働大臣許可を受けて労働者の募集(委託事業)に従事する者が、労働者を雇用しようとする者から同法に違反しない報酬を受ける場合をいう。(平10) 「他人の就業(労働関係)に介入」に該当するか否か労働者派遣について、派遣元と労働者との間に労働契約関係があれば、介入に該当しない。(平14) 労働基準法第6条 中間搾取の排除(過去問) ○何人も、他の法律の定め如何にかかわらず、業として、他人の就業に介入して利益を得てはならない。(平23.1B) ⇒× 「他の法律の定め如何にかかわらず」を、「法律に基づいて許される場合の外」に置き換えると正しい内容となる。例えば、有料職業紹介事業において厚生労働省令で定める手数料徴収する行為は中間搾取に該当するが、「職業安定法30条に基づき厚生労働大臣の許可を受けたとき」は、「法律に基づいて許される場合」に該当するため、労働基準法6条には違反しないものとされている。

 
 
 

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