行政書士と刑法基礎47(事後強盗罪)
- ezily5
- 2022年11月3日
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行政書士と刑法基礎47(事後強盗罪) 事後強盗罪は論点が少ないので、保護法益と論点がわかれば問題ない。 事後強盗罪の保護法益は、占有と生命・身体・自由が保護法益ということになり、強盗罪と同じである。事後強盗罪で問題になるのは共犯くらいである。 事後強盗罪が強盗罪として論じられる理由は、財産犯的と人身犯的説明があるからである。どちらも、窃取と暴行脅迫に強いつながりがあるからだ。窃取→暴行・脅迫の流れをとるのが事後強盗罪だ。 事後強盗罪の要件は ①窃盗②財物奪還阻止・逮捕免脱・罪跡隠滅目的③暴行・脅迫④強盗の機会④故意⑤不法領得の意思である。 上記の要件で問題となるのは④強盗の機会である。 窃盗と暴行・脅迫の間の時間が短い、場所が近いほど、窃盗と窃盗の機会は認められやい。つまり、時間的・場所的近接性が事後強盗罪にの要件で重要なのである。 事後強盗罪で難問なのは、前述したように、共犯関係である。最高裁判例が存在していないからだ。 具体事例としては AがX宅を窃盗した後、Xが追いかけてきたため、Aは暴行を加えた。それを見ていたBは事情を知ったうえでAを助けるためにXに対してAとともに暴行を加えた。Bにはいかなる犯罪が成立するか。 上記事例ついての考え方は ①身分犯と共同正犯 身分犯(賄賂罪のような、一定の身分があることで犯罪が成立するもの)の場合の共犯関係はどうなるのかということである。わかりやすく言えば、身分のある者と身分のない者とで身分に基づく犯罪をした場合どうなるのか?という論点だ。 身分犯には ・構成要件的身分犯 身分があることによって成立する賄賂罪(公務員)のようなもの。身分のある人×身分のない人では、両者ともに構成要件的身分犯の共同正犯が成立することになります(刑法65条1項) ・加減的身分犯 身分があることによって犯罪が「加重される」ものがある。 身分のある人×身分のない人では、身分のある人には加減的身分犯が成立しますが、身分のない人には通常の刑なので加減されていない犯罪が成立する。 ②承継的共同正犯がある。 後から加入してきた者に対して成立する共同正犯である。もちろん、後から加入してきた者の因果性が重要なる。因果性があれば共同正犯ということなる。 事後強盗罪共犯における考え方は ①事後強盗罪について窃盗を身分(窃盗した者の身分関係)とする考え方。これは保護法益を財産犯的に捉える見解。 ②暴行・脅迫を身分(暴行・脅迫を行った者の身分関係とする考え方。これは保護法益を暴行・脅迫と捉える見解。 ③結合犯と考える。 事後強盗罪を身分犯ではなく結合犯=窃盗と暴行・脅迫は両方そろって事後強盗罪を構成するのであり切り離せない犯罪と捉える見解。
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