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行政書士と刑法の基礎40(名誉棄損罪)

  • ezily5
  • 2022年10月27日
  • 読了時間: 2分

行政書士と刑法の基礎40(名誉棄損罪)

名誉棄損罪は、刑法だけではなく憲法(表現の自由)と民法(不法行為)でも論議されるので重要だ!


 何故、上位規範である憲法で名誉棄損が論議されるのか、私にはよくわからない。


 名誉棄損罪は「人の外部名誉」((社会的な評判・名声)を保護するためにある。さらには、真実性の誤信という論点もある。

名誉棄損罪の要件は次の4つである。

①公然性

 不特定または多数の人が認識しうる状態をいう。特定かつ少数の場合にだけ公然性が満たされないということ。ただし、判例では、「伝播の理論」ということで相手方が特定かつ少数であっても、少数の者を通じて不特定または多数人へと広がるような場合は公然性が認められるとされている。


②事実摘示

 人の外部的名誉を害する(社会的評価を下げる)ような事実を示すことである。あまり問題にはならない。

③名誉毀損

 社会的評判を下げることを言う。未遂罪はない。実際に評判が下がることが必要要件である。法人についても成立する。

④故意

 説明するまでもない。


ただし、公共の利害に係る場合は、真実性を判断し、名誉棄損罪に該当させないという特例がある。(刑法230条の2)どういう場合に公共性の要件を満たすかということであるが、政治家、芸能人なども基本的に公共性が認められるとされている。


最後に付け加えると、判例では「真実であると誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らし相当な理由があるときは、名誉毀損罪は成立しない」とされている。(相当性の要件)


 私の個人的意見であるが、名誉棄損罪の裁判は、相手方の弁護士が優秀であれば油断禁物ではないだろうか?公共の利害(刑法230条の2)を持ち出されるとやっかいなことになるかもしれない。

 
 
 

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