小説 行政書士デジタルアーミー第5話
- ezily5
- 2022年6月23日
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小説 行政書士デジタルアーミー第5話
朝、佐伯裕子がデジタル庁に出勤すると、長官から電話があった。
「ヴァネッサちゃん、行政書士デジタルアーミーの件はどうなった?」ちゃんづけで職員を呼ぶのは長官の癖だった。
「その件のご報告をしたいと存じますのでお伺いいたします。」
ヴァネッサは手短に言うと電話を切った。
2021年にデジタル庁が発足した。初代長官は電通出身の山野井卓也。父親は政治家の山野井太郎で山野井長官は政治家二世である。
香川県選出の衆議院議員である。初めての衆議院議員選挙はいろいろあって大変だったらしい。自民党ネットメディア局長・自民党ネットサポーターズクラブ代表だったこともある。そんなこともあって初代デジタル庁長官に選出されたのかもしれない。
あくの強い性格は父親譲りと噂されている。
長官室に入室し長官のデスクの前に立つと、
「お早うございます。」ヴァネッサは長官に丁寧にお辞儀をした。
「君が担当しているプロジェクト「行政書士デジタルアーミー」の件でクレームあったらしい。IT軍なんて言葉はご法度だよ。」長官は単刀直入に切り出した。
「すいません。認識不足でした」ヴァネッサは素直に詫びた。
「まぁ、いい。」長官はヴァネッサにソファーを勧めた。
「オフレコなんだがね。君だけに言うけどね。」長官はトレードマークのギョロっとした目つきでヴァネッサの顔じっと見た。
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